テストステロンを増やしてウツを撃退せよ!

「肉をよく食べる人はウツになりにくい」「運動を沢山すると性欲が高まる」などテストステロンが影響しているのかなと思われる仮説を目にすることがあります。テストステロンが減少するからウツになるのか、ウツになるとテストステロンが減少するのか分かっていません。つまり、卵が先か鶏が先か分かりません。とにかく、男性も女性もテストステロンが減少すると元気が無くなるのです。

※Maturitas, March 2013Volume 74, Issue 3, Pages 230–234
「女性におけるテストステロン療法の神話と誤解」
https://www.maturitas.org/article/S0378-5122%2813%2900012-1/

神話1、テストステロンは男性のホルモンである。
→テストステロンは女性にも豊富に存在し生物学的に大いに活用されているホルモンである。

神話2、女性のテストステロンの唯一の役割は性欲を高めることである。
→テストステロンは女性の身体的および精神的健康に不可欠のホルモンです。

神話3、テストステロンは女性を男性化する。
→アンドロゲンの体内合成が薬理学的用量を超えなければ、テストステロンは女性または女性の胎児に男性化効果を持たない。

神話4、テストステロンは、枯れ声や声変わりを引き起こす。
→テストステロン療法が女性の枯れ声または不可逆的な声帯変化を引き起こすという決定的な証拠はない。

神話5、テストステロンは、抜け毛を引き起こす。
→テストステロン療法は、女性の頭皮の毛の成長を増加させる。

神話6、テストステロンは心臓に悪影響を及ぼす。
→テストステロンは心臓保護的であり、十分なレベルを維持することにより心疾患のリスクを低下させるという実質的な証拠がある。

神話7、テストステロンは肝障害を引き起こす。
→非経口テストステロンは肝臓に悪影響を及ぼさず凝固因子も増加させない。

神話8、テストステロンは、攻撃性を高める。
→テストステロン療法は、不安、イライラおよび攻撃性を減少させる。

神話9、テストステロンは、乳がんのリスクを高める可能性がある。
→テストステロンは乳房を保護し、乳がんのリスクを増加させることもない。

神話10、女性におけるテストステロン使用の安全性は確立されていない。
→女性の非経口テストステロン療法の安全性は、長期観察の結果、十分に確立されている。

男性の更年期うつ症状(LOH症候群=加齢男性性腺機能低下症)の治療法として、血中テストステロン濃度を測定した上で、テストステロンの補充療法が試みられることがありますが、テストステロン減少によるうつ症状が疑われている場合は、女性であっても、男性同様に補充することが選択肢となり得るのです。

家庭で日常生活の中で、テストステロンを増やす工夫を列挙しますので参考にして下さい。

・筋トレ(ロイシン、BCAA摂取による筋肉増強)
・危険を感じる興奮(銃の扱い、ジェットコースター、フィールドアスレチックなど)
・タンパク質&亜鉛摂取(カキ、肉類、大豆、卵、ココアなど)
・規則正しい生活
・十分な睡眠
・禁酒(1日1杯以下)
・禁煙
・肥満解消(BMI=20.75)
・ストレス軽減
・タマネギ・ニンニク摂取
・滋養強壮漢方薬(補中益気湯、十全大補湯)

味の素、アミノバイタルGOLD

ロート製薬、補中益気湯

クラシエ、十全大補湯

養生訓その4、入浴でウツを撃退せよ!

養生訓は、1712年に福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた健康指南書です。84歳で亡くなる前年83歳の時の著作です。当時の平均寿命は35歳程度ですから84歳が如何に長寿であるか分かると思います。健康診断も、抗生物質も、抗ウイルス薬も何も無い時代に84歳まで生きたことがどれほどインパクトあることか想像に難くありません。

貝原益軒は、現代の二重盲検によるエビデンスの確立法などの技法やツールを一切使わずに、日々の観察、思索と実践から、膨大な健康法を編み出しました。読んでみるとなかなか抽象的で難しい部分もありますが、「脳に良い健康法」もいくつかありましたので、すこしずつ御紹介してみたいと思います。

著作権がありませんので、ネットでも読めますが、書籍を手にとって読むことも有益だと思います。昼食後に、養生訓を手に公園に出かけ、少し読んで帰ってくるような健康法が考えられます。

※wikipedia養生訓
https://ja.wikipedia.org/wiki/養生訓

※中村学園大学によるWEB版養生訓
http://www.nakamura-u.ac.jp/library/kaibara/archive03/text01.html

※書籍なら
「すらすら読める養生訓」立川昭二

5巻49訓

温泉は、諸州に多し。入浴して宜しき症あり。あしき症あり。よくもなく、あしくもなき症有。凡(およそ)此三症有。よくゑ(え)らんで浴すべし。湯治(とうじ)してよき病症は、外症なり。打身(うちみ)の症、落馬したる病、高き所より落て痛める症、疥癬(かいせん)など皮膚の病、金瘡(きんそう)、はれ物の久しく癒(いえ)がたき症、およそ外病には神効(しんこう)あり。又、中風(ちゅうぶ)、筋引つり、しゞまり、手足しびれ、なゑたる症によし。内症には相応せず。されども気鬱、不食、積滞(しゃくたい)、気血不順など、凡(およそ)虚寒(きょかん)の病症は、湯に入あたためて、気めぐりて宜しき事あり。外症の速(すみやか)に効(しるし)あるにはしかず、かろく浴すべし。又、入浴して益もなく害もなき症多し。是は入浴すべからず。又、入浴して大に害ある病症あり。ことに汗症(かんしょう)、虚労(きょろう)、熱症に尤(も)いむ。妄(みだり)に入浴すべからず。湯治(とうじ)して相応せず、他病おこり、死せし人多し。慎しむべし。此理をしらざる人、湯治(とうじ)は一切の病によしとおもふは、大なるあやまり也。本草(ほんぞう)の陳蔵器(ちんぞうき)の説、考みるべし。湯治(とうじ)の事をよくとけり。凡(そ)入浴せば実症の病者も、一日に三度より多きをいむ。虚人(きょじん)は一両度なるべし。日の長短にもよるべし。しげく浴する事、甚(はなはだ)いむ。つよき人も湯中に入(り)て、身をあたため過すべからず。はたにこしかけて、湯を杓(ひしゃく)にてそそぐべし。久しからずして、早くやむべし。あたため過(すご)し、汗を出すべからず。大にいむ。毎日かろく浴し、早くやむべし。日数は七日二十七日なるべし。是を俗に一廻(めぐり)二廻と云。温泉をのむべからず。毒あり。金瘡の治のため、湯浴(ゆあみ)してきず癒(いえ)んとす。然るに温泉の相応せるを悦(よろこ)んで飲まば、いよいよ早くいえんとおもひて、のんだりしが、疵、大にやぶれて死せり。

意訳

温泉は、至る所にあるが、入浴して良い症状と良くない症状がある。どちらでもない症状もある。だいたいこの3つに分けられる。良く選んで入浴しよう。

湯治(とうじ)して良い病症の第1は、外症である。打身(うちみ)の症、落馬した怪我、高い所より落ちて痛める症、疥癬(かいせん=ダニ感染)など皮膚の病、金瘡(きんそう=切り傷)、はれ物の久しく癒(いえ)がたき症、およそ外病には良く効くものだ。また、中風(ちゅうぶ=脳出血後遺症のマヒ)、筋肉の引きつり、筋肉の縮まり、手足しびれ、手足に力が入らない症状に良い。

湯治は体の内側の症状には効かない。だが、うつ病、食欲不振、胃のもたれ、血行不良、冷え性などには、湯船に入って温めて血行を良くして改善することがある。ただ、外傷が改善するスピードには及ばない。軽く入浴すると良い。

また、入浴して良くも悪くもない症状も多い。これは入浴しない方が良い。

また、入浴しておおいに有害な症状もある。特に多汗症、肉体疲労、発熱時には良くない。決して入浴すべきではない。湯治に適さないのだ。湯治して他の症状が悪化して亡くなる人も多い。やめた方が良い。これを知らずに、湯治は万病に効くと思っている人は大間違いである。

中国唐代に本草拾遺を著作した陳蔵器(ちんぞうき)の説をよく思い出すべきである。彼は湯治のやり方を次のように注意していた。

体力のある病人も1日に3度よりも多く入るべきではない。体力の無い人は日に2度にするべきだ。季節にもよるが、頻繁に入浴することは特に良くない。体力がある人も湯船に入って身を温め過ぎるのは良くない。湯船の端に腰掛けて、湯をヒシャクで体に掛ければ良いのだ。長風呂はせず、早めに出よ。温めすぎて汗を出すな。大いに良くない。毎日かるく入浴し、早く出よ。湯治の日数は、7日から27日までとせよ。これを俗に一廻(めぐり)二廻と言う。温泉は飲むな、毒である。昔、切り傷の湯治が効いて良くなってきたのを喜んで、温泉を飲んだらもっと良くなるかと思って飲んだ人が居たが、傷が化膿して亡くなってしまったことがある。

鑑賞

なんとも、湯治の奥深い世界を益軒先生は教えてくれますね。有害な症状では「湯治したら死ぬからやめた方がよい」なんて衝撃的です。入浴の効用と害悪をこれほど深く考えている現代人は少ないのではないでしょうか。やはり、現代医薬や医療機器が無い時代ですから、入浴の作用についても非常に注意深く観察して結論を得ていたのでしょう。

この訓で特に重要なのは、「入浴がうつ病に良い」という教えですね。うつ病に関する一般書を何冊か読みましたが入浴の事が書いてある本はありませんでした。「そうか!入浴すれば良いのか!」という驚きですね。しかも、その入浴法は「かろく浴すべし」ということです。ぬるめのお風呂で発汗しないように入れ、と言うことなんですね。これを読んで「42度以上の熱い風呂は交感神経を刺激するからリラックスしたいときには合わない」という記事を思い出しました。夜は、38度の半身浴で15分程度入る入浴法が良いのかなと思いました。

※兵庫医科大学、ここらいふVol. 3(2016年1月号)より
http://www.corp.hyo-med.ac.jp/library/guide/activity/public/pdf/03p02_04.pdf

※wiki湯治
https://ja.wikipedia.org/wiki/湯治

PQQを摂取して脳機能を向上せよ!

PQQという新しいビタミン候補があるのを御存知ですか?

※wiki解説
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%83%B3

※理研のプレスリリース「半世紀ぶりの新種ビタミン PQQ(ピロロキノリンキノン) 」
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/press/2003/20030424_1/20030424_1.pdf

※J Clin Biochem Nutr. 2008 Jan; 42(1): 29–34.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2212345/

Pyrroloquinoline Quinone (PQQ) Prevents Cognitive Deficit Caused by Oxidative Stress in Rats

上記論文の題名は、「ピロロキノリンキノン(PQQ)は、ラットの酸化ストレスに起因する認知障害を予防する」というものです。ヒトでの臨床試験もいくつか試みられているようです。

※The Journal of Nutrition, Volume 130, Issue 4, 1 April 2000, Pages 719–727
https://academic.oup.com/jn/article/130/4/719/4686720

こちらの論文によりますと、PQQは次のような食品に含まれているとのことです。

単位=μグラム/キログラムまたはリットル
ココア 、800
母乳  、140~180
納豆  、61
キウイ 、27
ニンジン、17
キャベツ、16
バナナ 、13

ココアの含有量が際立っていますね。そういえばココア=チョコレートは、中央アメリカの原住民が「貴重な薬」として使っていたという逸話が思い出されます。

※wiki解説、チョコレートの歴史
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2

※株式会社明治、チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究
https://www.meiji.co.jp/chocohealthlife/news/research.html

これを読んで「チョコレートって健康に良いんだな」と漠然と考えていましたが、実はPQQが関与していたのかも知れませんね。母乳は赤ちゃんしか頂けませんし、あとは、納豆、キウイ、ニンジン、キャベツでしょうか。PQQの機能や体内での働き方は未だ研究途上のようですが、これが解明されるまで待っていられませんから、日常的にこれら食品を摂取していくと良いですね!はい、決めました、これからチョコレートは絶対ハイカカオにします!

明治、チョコレート効果

涙活でストレスを軽減してウツを撃退せよ!

涙を流すことによりストレス軽減作用があるという研究があります。光トポグラフィ解析法という、脳の血流量を測定する装置を使って、「泣きのビデオ」を見たときの脳の前頭前野(感情をつかさどる部分)の活動状況を調べたところ、「恐怖のビデオ」や「笑いのビデオ」を見たときよりも血流量が増えて、心理テストをしてみると、混乱および緊張・不安の尺度が改善したということです。ストレスがうつ病の原因になるという研究もありますから、涙を流すことはうつ病の対策になる可能性がありますね。涙には心のリセット効果があるのかもしれません。

※涙とストレス緩和、有田秀穂
http://www.msd-life-science-foundation.or.jp/banyu_oldsite/symp/about/info/pdf/3-6_085_089.pdf

この論文には、「泣きのビデオ」がどんなものなのか明かされてないので、ここに推測したものを列挙してみましょう。「古い」「ダサい」「子供っぽい」「乙女チック」などとバカにせず、たまにはビデオで涙を流してスッキリする体験も必要ということでしょうか。大河ドラマとか、朝の連続テレビ小説とかも意外に効用がありそうです。定番の「おしん」とか「独眼竜政宗」とか「大地の子」とかも良いでしょう。NHKオンデマンドで見れますかね。不思議なことに、感動する映画は何度見ても感動できますね。自分に合った「泣ける映画」を選んでおいてたまに見るという方法も良いと思います。

エデンの東
ゴースト
南極物語
クレイマー、クレイマー

※ストレス科学研究 2015, 30, 138-144、山口県立大学看護栄養学部の論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stresskagakukenkyu/30/0/30_138/_pdf
 
有田秀穂、脳からストレスを消す技術

養生訓その3、部屋の中で居る位置は!

養生訓は、1712年に福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた健康指南書です。84歳で亡くなる前年83歳の時の著作です。当時の平均寿命は35歳程度ですから84歳が如何に長寿であるか分かると思います。健康診断も、抗生物質も、抗ウイルス薬も何も無い時代に84歳まで生きたことがどれほどインパクトあることか想像に難くありません。

貝原益軒は、現代の二重盲検によるエビデンスの確立法などの技法やツールを一切使わずに、日々の観察、思索と実践から、膨大な健康法を編み出しました。読んでみるとなかなか抽象的で難しい部分もありますが、「脳に良い健康法」もいくつかありましたので、すこしずつ御紹介してみたいと思います。

著作権がありませんので、ネットでも読めますが、書籍を手にとって読むことも有益だと思います。昼食後に、養生訓を手に公園に出かけ、少し読んで帰ってくるような健康法が考えられます。

※wikipedia養生訓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%8A%E7%94%9F%E8%A8%93

※中村学園大学によるWEB版養生訓
http://www.nakamura-u.ac.jp/library/kaibara/archive03/text01.html
 
※書籍なら
「すらすら読める養生訓」立川昭二、講談社+α文庫
 

5巻2訓

つねに居る処は、南に向ひ、戸に近く、明なるべし。陰欝(いんうつ)にしてくらき処に、常に居るべからず、気をふさぐ。又かがやき過たる陽明の処も、つねに居ては精神をうばふ。陰陽の中にかなひ、明暗相半(なかば)すべし。甚(はなはだ)明るければ簾(すだれ)をおろし、くらければ簾をかかぐべし。

意訳

部屋の中では常に、南に向かって、窓に近く、明るい所に居るべきだ。暗い所に居ると気持ちが沈んで良くない。但し、明るすぎる所も、長い時間居続けるのは精神が疲れてしまって良くない。明るいのと暗いのと、中庸に合致し、半分ずつにすると良い。明るすぎる時はカーテンを掛けて、暗いときはカーテンを開ければ良い。

鑑賞

この訓は、益軒が300年前に日光によるビタミンD合成と、そこからセロトニン合成に至る代謝回路を知っていたのではないかと疑わしくなるほど、鋭い指摘です。現代精神栄養学では、皮膚でビタミンD合成に必要な時間は、「冬の12月の晴天日正午の札幌、つくば、那覇について、それぞれ139分、41分、14分」と見積もられています。そして、紅斑を生じるなど皮膚に有害な影響を及ぼし始める時間は、札幌227分、つくば98分、那覇42分」と見積もられています。

https://www.nies.go.jp/whatsnew/2014/20141127/20141127.html
 
※参考書籍
「セロトニン脳健康法」有田秀穂、中川一郎、講談社+α新書