菜根譚ビギナーズ・クラシックス、湯浅邦弘
処世術を教えてくれる中国古典名著「菜根譚」ですが、養生訓として読むこともできると思います。
前集110条
老来疾病、都是壮時招的(ろうらいのしっぺいは、すべてこれそうじにまねくものなり)
衰後罪孽、都是盛時作的(すいごのざいげつは、すべてこれせいじにつくるものなり)
故持盈履満、君子尤恐恐焉(ゆへにえいをたもちまんをはくには、くんしもっともきょうきょうたれ)
※意訳
年を取ってから掛かる病気は、若い頃の不摂生が招いたものだ。
権勢が衰えてから悪事が露見するのは、栄華を誇った時期に原因が作られているものだ。
だから地位も名声も経済もできるかぎり維持したいのであれば、人の上に立つ者は常に戦々恐々としていなければならない。
※鑑賞
菜根譚が書かれた16世紀の明代中国に「生活習慣病」という概念があったとは思えませんが、若い頃の生活習慣が老年に至って大病を招くものだという教訓を述べておられます。それが社会生活の栄華権勢の維持にも役立つ考え方ですよと教えているわけです。生活習慣病を予防するために若い頃から不摂生は慎まなければならないし、若い頃からおごり高ぶらず質素に慎ましく生活していれば晩節を汚すことも避けられますよ、ということなんですね。辞書によると壮年期は25~44歳ということです。確かにこの頃は無限に働けて無限に遊べる気がするものです。オールしちゃったとか言って、徹夜で働いたり徹夜で飲んだりしちゃいますね。クラブ遊びの始発帰り、楽しいんですけどね。
ブレインフードの観点から申しますと、若い頃から脳に良い生活習慣を積み重ねていれば、高齢になっても認知症や老人性ウツを防止することができるかもしれませんよ、ということです。まさに日々の積み重ねというやつです。
※参考記事
言葉のクスリ、菜根譚を読む9(糖質制限の勧め)
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