菜根譚ビギナーズ・クラシックス、湯浅邦弘
処世術を教えてくれる中国古典名著「菜根譚」ですが、養生訓として読むこともできると思います。
前集26条
飽後思味(あいてのちあじをおもひても)
則濃淡之境都消(すなわちのうたんのきょうもすべてきゆ)
色後思淫(しきののちいんをおもひても)
則男女之見盡絶(すなわちだんじょのけんことごとくたゆ)
故人常以事後之悔悟(ゆえにひとはつねにじごのかいごをもって)
破臨事之痴迷(りんじのちめいをやぶらば)
則性定而動無不正(すなわちしょうはさだまりただしからざるなくうごかむ)
※意訳
満腹になるまで飽きるまで食べてから、どんな味だったか思い出そうとしても、
味の濃い薄いも忘れてしまって思い出せないものだ。
姦淫しつくした後に、どんな交わりであったか思い出そうとしても、
男女関係の機微もすべて消え去って思い出せないのだ。
だから、ひとはいつも、この事後の後悔の念を糧として、
一時の気の迷いというものを打破できれば、
精神も安定し、正しい道を歩むことができるのだ。
※鑑賞
「飽食の時代」という言葉がありますが、飽きるまで食べてしまって満腹になってしまえば、もう味も関係なくなってしまう。折角の食事なのに、味が分からないなんて悲しいですね。だから、満腹はやめなさいと教えているわけです。
男女関係だって節度なくとっかえひっかえ交際するようでは、逆に男女関係の良さが失われてしまう。男女関係の機微を味わうにはプラトニックラブを重視せよという教えなんですね。
腹八分の教えは、生活のあらゆる場面で活きてくるというわけです。
※参考記事
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