聞きなれない言葉ですが、「おなかのカビ」は、いま世界中で真面目に研究されており、全身の様々な病気の原因であると疑われているのです。勿論、脳の不調=認知症やウツ病の原因にもなり得ます。
著者は the yeast connection handbook という米国の医師が書いた本を読んで「おなかのカビ」に開眼したということです。yeast はカビの一種である酵母で、yeast connection は酵母関連疾患のことで、カンジタ菌などカビの仲間に関する健康問題を論じたハンドブックなんですね。海外ではおなかのカビの研究が進んでいるようです。
※糖尿病患者の唾液血糖上昇が口腔カンジタ症に与える影響
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34233529/
この論文によると「糖尿病患者の血中に見られるブドウ糖レベルは唾液に反映される可能性があり、これは口腔バイオフィルムの成長を促進し、義歯装着者を口腔カンジダ症にかかりやすくする可能性があり」ます。ブドウ糖グルコースは胃でも腸でも口腔でも、カンジタ菌のエサになりカビの異常増殖の原因になりえるようです。増殖したカビが毒素を排出して様々な身体の不調を引き起こすのです。勿論糖尿病も悪化するでしょう。そうなれば悪循環です。元気が無くなったり、認知障害になるリスクも高まります。
それで、おなかのカビをやっつける方法ですが、上記の本に書いてあることをリストアップしてみますので、各自本を手に取って読んでみてください。
- 抗生物質(抗菌薬)の乱用をやめる。
- 発酵食品の摂りすぎをやめる。腹八分。
- 高気密住宅の風通しを良くする。
- 炭水化物の摂りすぎをやめる。
- ビタミン剤などサプリメント乱用をやめる。
- 遺伝子組み換え食品を食べない。
- ステロイドやホルモン薬をやめる。
- 環境ホルモンに注意する。
- 洗剤シャンプー化学物質に注意する。
- 添加物の摂取をやめる。
- 睡眠時間の確保
- カビが発生しやすい食品(トウモロコシ、コーヒー、小麦、大麦、砂糖、ナッツ類、アルコール、チーズ、バナナ、パイナップル)を避ける。輸送に時間が掛かる外国産フルーツも減らす。カビ毒は加熱しても消えない。
- 抗真菌作用食品を摂取する。ニンニク、梅肉エキス、グレープシードオイル、オレガノ、ココナッツ、ローズマリー、クローブ、シナモンなど。
- 定期的に身体を38度以上の高温にする。
- 日光浴をする。
- アルカリ食品やアルカリ水を摂る。
健康に良いとされている発酵食品も食べ過ぎるとカビを増やす原因になってしまうのだそうです。また、ビタミン剤もカビを喜ばす恐れがあるそうです。驚きですね!
一番大事なのは抗生剤の乱用防止だそうです。
ちょっと難しいですが、「抗微生物薬適正使用の手引き 第二版」を患者である我々自身も勉強して医療機関や薬との関わりを考えていく必要があると思います。医師との問診トークや処方に影響するかもしれません。
確かに日本人は抗生剤を使い過ぎで薬剤耐性菌の楽園になってしまっているようです。オランダでは中耳炎の3割しか抗生剤が使われていないそうですが、日本では9割以上の中耳炎で抗生剤が処方されているのだそうです。また、日本では帝王切開出産後のお母さんに感染症予防で抗生物質を飲ませることが多くなっているそうですが、感染症でもないのに飲ませるのは疑問がありますね。赤ちゃんの腸内細菌叢の生成に悪影響し、発達障害児増加の遠因になっているかもしれません。畜産でも生産性を上げるためにエサに抗生剤が混ぜられているそうです。その肉を子供たちも含めて我々は食べています。
1928年にペニシリンを発見したアレキサンダー・フレミングは、1945 年ノーベル医学生理学賞受賞講演で、次のように述べています。
“ペニシリンが商店で誰でも買うことができる時代が来るかもしれない。そのとき、無知な人が必要量以下の用量で内服して、体内の微生物に非致死量の薬剤を曝露させることで、薬剤耐性菌を生み出してしまう恐れがある。”
皮肉なことに日本ではお医者様がこれに似た状況を作り出してしまっているのです。
問題は薬剤耐性菌だけでなく、腸内細菌叢も悪玉菌の巣窟になってしまい、おなかのカビであるカンジタ感染症の悪化に国民全体で悩まされているのかもしれません。
問われているのは現代的なライフスタイルです。忙しく働いて睡眠を削り、清潔で、加工食品による栄養に満ち足りて、病気は薬剤で治す、そんな生活に警鐘が鳴らされているのかもしれません。
※参考記事
衛生仮説
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