言葉のクスリ、菜根譚を読む11(一病息災)

菜根譚ビギナーズ・クラシックス、湯浅邦弘

処世術を教えてくれる中国古典名著「菜根譚」ですが、養生訓として読むこともできると思います。

後集119条

子生而母危、鏹積而盗窺、何喜非憂也(こうまるるはすなわちははあやうく、きょうつむはすなわちぬすびとうかがう、なんぞよろこびうれわざるや)
貧可以節用、病可以保身、何憂非喜也(ひんはもってせつようすべく、やまいはもってほしんすべし、なんぞうれいよろこばざる)
故達人当順逆一視而欣戚両忘(ゆえにたつじんまさにじゅんぎゃくいっししてきんせきふたつともにわするべし)。

※意訳
子どもが産まれる時は母親の命が危険にさらされるし、お金が沢山積まれると盗賊に狙われることになるのだ。どうして喜ぶことができるだろうか、心配するべきである。

貧乏であっても節約することができるし、病気があっても養生することができるのだから、気落ちすることはない、喜ぶべきである。

だから達人たるものは順境も逆境も同じものと考え、よろこびやかなしみといった感情は両方捨て去るべきである。

※鑑賞
現代でも出産はリスクイベントですが、手術も抗生剤も使えない16世紀には本当に命懸けの事業でした。だから、子どもが産まれるからといって喜んでばかりは居られないよ、と教えているんですね。お金持ちになっても盗賊の餌食になりかねないから心配しなきゃいけなくなる。お金持ちになることも一概に良いこととは言えないですね。

逆に貧乏であっても節約すれば問題無いし、病気があっても保身できるから喜ぶべきである、というのです。無病息災という言葉がありますが、もうひとつ「一病息災」という言葉もあります。何も病気が無いのも素晴らしいですが、たとえひとつくらい持病があっても、そのせいで体調に注意することによりかえって長生きできるチャンスになりますよということです。健康だとつい暴飲暴食や夜更かしなど体に悪いことを重ねてしまうものですが、持病がある場合は無理が出来ないと自分でセーブして注意深く生活することができるのでそれが逆に長寿に繋がる可能性があるということですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。