幕内秀夫さんの累計170万部突破の人気シリーズ「粗食のすすめ」を読んでみました。管理栄養士で専門学校の栄養学講師として山梨県の長寿村(上野原市棡原)に調査に行った時に、粗食を続けていた明治生まれの老人が元気に働いているのに対して、欧米食を受け入れた大正・昭和生まれの中年がバタバタと病気で倒れている実態を見て衝撃を受けたというのが、粗食を勧めるきっかけとなったそうです。
棡原の粗食というのは具体的には、「麦やアワ、キビなどの雑穀、芋類を主食にして、野菜や山菜などを副食にしてきた」食生活ということです。肉や牛乳や乳製品などはほとんど食べていないそうです。白米などの精製食品は食べていなかったのです。やはり玄米に全粒粉が大事なんですね。
この本では「サプリメント信仰は危険なブーム」という提言もありました。ビタミンなどの微量栄養素は、まだまだ解明されていない成分が沢山あり、既に判明している成分を一生懸命摂取しても、その他の未知の成分が摂れていないので現代型栄養失調・新型栄養失調の危険から逃れることはできないというのです。これは賛同致します。人類の浅知恵でリストアップされた必須栄養素なんて、どんどん変わっていきますからね。未精製の雑多な穀類をメインで食べるという昔からの「粗食」に回帰せよと主張されているんですね。
しかしまあ、戦後の栄養状況改善と欧米食導入で、日本人の平均寿命が延びていることも事実ですね。穀類で摂れる「炭水化物」と「食物繊維」だけでなく、「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」「ファイトケミカル」にも留意が必要だと思います。そういえば、100歳でも現役医師として活躍され、105歳で亡くなった日野原重明医学博士は毎日魚を食べて、週に2~3回はステーキを食べるとインタビューで答えておられました。
※日野原重明医師インタビュー
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_746.html
※上記インタビュー抜粋
『朝はとにかく時間がないので、オリーブオイルをジュースに入れて飲みます。それから牛乳をコップに1杯。時間があれば少し果物を加えることもあります。昼食はクッキー2枚に牛乳コップ1杯です。夕食はなるべく自宅で食べるようにしています。ご飯は半膳くらい。お肉は割と多くて週に2~3回はステーキを食べます。そしてお魚はだいたい毎日食べます。お肉やお魚はたんぱく質が豊富です。たんぱく質は筋肉を作る材料になるので、高齢者になっても積極的に摂っていただきたいと思います。私は普通の人よりも少し多めに、1日60グラムは摂っています。』
なんだか粗食のような豪華なような不思議な食生活ですが、カロリー総量としては粗食の部類なのでしょう。だけど、栄養素は様々なものを豊富に摂っておられたんですね。ゴハンだけでなく、トリプトファンを含む小麦粉のクッキーも摂って、朝はジュースとオリーブオイルなんですね。地中海食の考え方も取り入れられてますね。ステーキは国産牛ヒレステーキなのでしょう。日野原先生のアドバイスは実際に105歳まで長寿を保っておられたのですから非常に説得力があります。幕内秀夫さんの「粗食のすすめ」も、これから幕内さんの実際の長寿によって実証していくことが大切だと思います。
そういえば、メガビタミン健康法を提唱したライナスポーリング博士(ノーベル賞2回受賞の超天才)は、ビタミンCを毎日6~18グラム摂取して、実際に93歳まで生きましたから、毎日10グラムとかはやり過ぎとしても、毎日1グラムとかなら効果があるのかなと思いました。