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言葉のクスリ「こども折々のうた100」短歌編

大岡信、こども折々のうた100

言葉のリラックス効果は大きいですね。大岡信さんの「折々のうた」を子供向けに編集し直した好著が出ています。その中から、短歌4首をご紹介いたします。リラックス鎮静効果をご賞味下さい。

志貴皇子(しきのみこ)
いわばしる たるみの上の さわらびの
萌えいづる春に なりにけるかも

雪解け水が勢いよく増えて、岩の間を流れて滝と落ちている。そこにワラビの芽が顔を出している。もう春がやってきたのだなあ。私の人生にも春が来るかな、何か良いことがある予感がするなあ!

西行法師
風になびく 富士の煙の空に消えて
行方も知らぬわが思ひかな

富士山の噴火から何年か経ったが細い噴煙がのぼっている。それが風に吹かれて空に消えていくのを眺めている。それはいつまで見ていても飽きないものだ。わたし自身の煩悩も、同じように空に吸い込まれるようだ。どこに行ってしまったのだろう。

橘曙覧(たちばなあけみ)
たのしみは ふすまかづきて 物がたり
いひおるうちに 寝入りたるとき

何と言っても楽しいのは、ふとんにもぐってこどもとおしゃべりすることだ。おはなししてと頼まれてあれこれしゃべっているうちにいつのまにか寝てしまう。そういうささやかな幸福を大事にしたいものだ。

石川啄木(いしかわたくぼく)
やはらかに 柳あをめる 北上の
岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに

目を閉じるとふるさと北上の実家近くの岸辺にある柳の新緑が目に浮かぶ。柳がやさしくやわらかく風に揺れて、東京で心細いなら戻ってきてここで泣いても良いんだよと言っているようだ。まるで母親にそのように言われている心地がして泣けてくることよ。

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