うつ病の運動療法、認知症予防

昔から、スポーツや体を動かすことで抗うつ作用や、抗不安作用があると言われていましたが、日本スポーツ精神医学会も設立され、最近は具体的な研究レポートも増えてきました。

https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004497122.pdf?id=ART0007276988
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stresskagakukenkyu/28/0/28_20/_pdf
https://www.sportspsychiatry.jp/

これらの論文を読みますと、運動量は、週3回以上、ウォーキングまたはジョギング1時間程度を、3ヶ月程度行うと有意に効果が観測されるようです。SSRI薬などとの併用療法も効果があるようです。

興味深いのは、座位行動とうつ症状の関連です。座位行動とは覚醒時に行われる座位および臥位の身体活動であり、テレビ視聴やコンピュータの利用などが挙げられています。テレビ視聴時間が長いと、うつ病発症リスクが高まるという報告もあります。運動することは脳に良いし、運動しないと脳に悪いということですね。

ビタミンD(メラトニン、セロトニン)合成に日光浴が有効ですから、例えば昼食を食べに行く場合は、30分歩いて到達できる店(隣町のお店)を選び、往復1時間のウォーキングと日光浴を行う対策が考えられます。セロトニンの材料となるトリプトファンを摂るために、「ごはん系」より「そば・こむぎ系」の店舗が良いかも知れません。パスタ店とか、ソバ屋とかですね。オメガ3脂肪酸DHA&EPAを摂取するために、寿司店も良いですね。

ですから、たとえば、1週間に3回、ランチで、パスタ屋、そば屋、すし屋と、ローテーションを組んで1時間のウォーキングで食べに行くと良いでしょう。外食は不健康と思う場合は、おにぎりとかサンドイッチを持参して、歩いて30分の公園に出掛けて、食べて帰ってくるのも良いですね。

そういえば、NHKスペシャル「人体」で、筋肉を動かすと出てくるメッセージ物質「カテプシンB」が脳に働きかけて記憶力が高まる可能性があるという研究もあると紹介していました。「文武両道」って、体を動かすと頭も良くなるって意味だったんですね!

https://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_4.html

運動により、脳由来神経栄養因子BDNFが増えるという有名な論文も御紹介します。UCLA大学のShoshanna Vaynmanらの動物実験に関する論文です。
 
European Journal of Neuroscience, Vol. 20, pp. 2580–2590, 2004
https://www.ibp.ucla.edu/research/GomezPinilla/publications/Exc2580.pdf

Our results showed that exercise enhanced spatial learning and memory on the MWM task and was associated with an increase in the mRNA levels of BDNF, its TrkB receptor, and its consummate endproducts, synapsin I and CREB. Importantly, our results are novel as they provide the first direct evidence that exercise may predominately employ the action of BDNF to enhance cognitive function. Furthermore, given the extensive involvement of the BDNF system in many disorders of cognitive function, such as schizophrenia (Egan et al.,2003), traumatic brain injury (Horsfield et al., 2002), dementia (Andoet al., 2002), and Alzheimer’s disease (Tsai et al., 2004), the finding that a short and moderate exercise period is sufficient to enhance learning and memory suggests that exercise is a highly accessible form of intervention that could be used in conjunction with the standard method of care.

上記和訳

我々の実験結果は、運動によりマウスのMorris Water Maze(水中迷路)課題において空間認識能力と記憶力が高まること、そして、それはBDNFのmRNAレベルと、そのTrkB受容体、そしてこれらの最終生産物であるシナプシンIとCREBの増加と関係していることを明らかにしました。これは、運動が主にBDNFの作用を利用して認知機能を向上させる可能性があるという最初の直接的な証拠を提供するもので、重要です。さらに、統合失調症、外傷性脳損傷、認知症、アルツハイマー病、ならびに認知機能障害の多くにBDNFシステムが広範に関与していることを考えると、短期および中等度の運動が学習および記憶を増強するのに十分であるという知見は、運動が、標準的な治療方法と組み合わせて使用することができる非常にアクセスしやすい治療法であることを示唆している。

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