養生訓その5、夏バテ防止法

養生訓は、1712年に福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた健康指南書です。84歳で亡くなる前年83歳の時の著作です。当時の平均寿命は35歳程度ですから84歳が如何に長寿であるか分かると思います。健康診断も、抗生物質も、抗ウイルス薬も何も無い時代に84歳まで生きたことがどれほどインパクトあることか想像に難くありません。

貝原益軒は、現代の二重盲検によるエビデンスの確立法などの技法やツールを一切使わずに、日々の観察、思索と実践から、膨大な健康法を編み出しました。読んでみるとなかなか抽象的で難しい部分もありますが、「脳に良い健康法」もいくつかありましたので、すこしずつ御紹介してみたいと思います。今回は夏バテ対策を探して御紹介致します。

著作権がありませんので、ネットでも読めますが、書籍を手にとって読むことも有益だと思います。昼食後に、養生訓を手に公園に出かけ、少し読んで帰ってくるような健康法が考えられます。

※wikipedia養生訓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%8A%E7%94%9F%E8%A8%93

※中村学園大学によるWEB版養生訓
http://www.nakamura-u.ac.jp/library/kaibara/archive03/text01.html

※書籍なら
「すらすら読める養生訓」立川昭二、講談社+α文庫

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4巻8訓

夏月、暑中にふたをして、久しくありて、熱気に蒸欝(むしうつ)し、気味悪しくなりたる物、食ふべからず。冬月、霜に打れたる菜、又、のきの下に生じたる菜、皆くらべからず。是皆陰物なり。

意訳

夏は、暑いところに密閉して、しばらく放置し、熱気で蒸され、風味の悪くなった物は食べてはいけない。冬は、霜に当たった野菜や、軒下に生えた野菜は、どれも食べてはいけない。これはみな生気を失う食べ物である。

4巻9訓

瓜は風涼の日、及秋月清涼の日、食ふべからず。極暑の時食ふべし。

意訳

瓜科のキュウリ、カボチャ、ゴーヤ、スイカ、メロンは、夏でも気温の低い日や、秋口の涼しい日には食べてはいけない。酷暑の時に食べると良い。

5巻29訓

寒月はおそくおき、暑月は早くおくべし。暑月も、風にあたり臥すべからず。ねぶりの内に、風にあたるべからず。ねぶりの内に、扇にてあふがしむべからず。

意訳

寒い季節は遅く起きると良い。暑い季節は早起きすべきである。暑い時も、風にあたって寝るべきではない。寝ているときに風に当たるな。扇であおいで貰うのもダメである。

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益軒先生の独自の夏バテ防止法、いかがですか?面白いですね。カボチャは寒いときの煮物に入れるイメージがありましたが、夏こそ食べるべきなんですね!

益軒先生によれば、夏の暑いことは「外邪」であり、おそれてふせぐべし、ということです。

1巻4訓

養生の術は、先(ず)わが身をそこなふ物を去べし。身をそこなふ物は、内慾と外邪となり。内慾とは飲食の慾、好色の慾、睡の慾、言語をほしゐままにするの慾と、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の七情の慾を云。外邪とは天の四気なり。風・寒・暑・湿を云。内慾をこらゑて、すくなくし、外邪をおそれてふせぐ、是を以(て)、元気をそこなはず、病なくして天年を永くたもつべし。

益軒先生によれば、カラダに良くないことは内欲と外邪であり、夏の暑いことは「外邪」に含まれるんですね。内欲は自分自身の行動です。外邪は環境要因ですからどうすることもできませんが、それに対する対処法は「おそれてふせぐ」べしということです。無理をせず、人工的に涼しくするのは良くないとおっしゃってますね。クーラーなんかも最小限度にすると良いかもしれません。