養生訓は、1712年に福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた健康指南書です。84歳で亡くなる前年83歳の時の著作です。当時の平均寿命は35歳程度ですから84歳が如何に長寿であるか分かると思います。健康診断も、抗生物質も、抗ウイルス薬も何も無い時代に84歳まで生きたことがどれほどインパクトあることか想像に難くありません。
貝原益軒は、現代の二重盲検によるエビデンスの確立法などの技法やツールを一切使わずに、日々の観察、思索と実践から、膨大な健康法を編み出しました。読んでみるとなかなか抽象的で難しい部分もありますが、「脳に良い健康法」もいくつかありましたので、すこしずつ御紹介してみたいと思います。
著作権がありませんので、ネットでも読めますが、書籍を手にとって読むことも有益だと思います。昼食後に養生訓を手に公園に出かけ、少し読んで帰ってくるような健康法が考えられます。
※wikipedia養生訓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%8A%E7%94%9F%E8%A8%93
※中村学園大学によるWEB版養生訓
http://www.nakamura-u.ac.jp/library/kaibara/archive03/text01.html
※書籍なら
「すらすら読める養生訓」立川昭二、講談社+α文庫
4巻6訓
諸の食物、陽気の生理ある新きを食ふべし。毒なし。日久しく歴(へ)たる陰気欝滞(うったい)せる物、食ふべからず。害あり。煮過してにえばなを失へるも同じ。
意訳
食べ物は何でも、活き活きとした新鮮なものを食べよ。そういうものに毒は無い。収穫して日数を経た衰えたものは食べてはならない。有害である。煮物を煮すぎて食べ頃を過ぎてしまったものも同様に食べてはならない。
鑑賞
この訓は、益軒が300年前に現代精神栄養学を知っていたのではないかと疑わしくなるほど、鋭い指摘を与えています。酵素反応を促進するためにローフードを食べよと言うわけです。にえばなというのは、煮え端ということで、煮え始まった食べ頃を指しているわけで「熱変性してない酵素を摂取せよ」ということですね。発酵食品も発酵したてを食べろということです。日久しく歴(へ)たる陰気欝滞した食べ物とは「日持ちする加工食品を食べるな」ということを指摘しているわけです。そういうものはカロリーが足りていたとしても栄養素が不足して体内で働きませんよと益軒は言っているんですね。スーパーで食材を買ってきて冷蔵庫に保管して数日後に食べるという現代人の生活スタイルに警鐘を鳴らしているようです。旬の食材を新鮮なうちに食べる限り冷蔵庫は不要になるわけです。スーパーで古くなった値引き食品を買うのも考え物です。値引きされてなくても新鮮な食材を買ってきて調理して食べるのが良いのでしょう。
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