https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30560742
高齢者におけるうつ病発症を予防する因子の研究が増えております。特に、文化的活動(社会的相互作用、認知的刺激および穏やかな身体活動を含む多数の保護的要因を組み合わせたもの)の効果を実証する研究が増えています。
うつ病に罹患していないイギリスの2148人の50歳以上の成人の行動調査を行い、文化的活動の頻度(博物館、劇場、映画への外出を含む)と10年以内のうつ病発症リスクとの関連を検討したところ、文化的活動の頻度とうつ病を発症するリスクとの間には反比例関係があったということです。数ヶ月に一度文化的活動を行った場合は32パーセント発症リスクが低減され、毎月文化的活動を行った場合は48パーセント発症リスクが低減したということです。
文化的活動をするから元気なのか、元気だから文化的活動をするのか分かりません。これはタマゴが先かニワトリが先かという議論にもなりかねないことですが、とにかく、頻繁に文化的活動に参加するような高齢者は鬱病を発症しにくいという事が分かりました。文化的な活動に興味が無くなったらウツ傾向の兆候と認識できるかもしれません。行きたくないのに無理に出掛けてもダメでしょう。興味を持てるように工夫することが必要です。
そういえば日本では「定年後に趣味が無いと早くボケる」と良く言われますね。上記論文は、これと同じことを言っているような気がします。土いじりでも、絵描きでも、スポーツでも何でも良いから、文化的・社会的な刺激を受け続けることが必要なんですね。ひとりでやる趣味より、複数人でやるような趣味が良いですね。
子供や学生の勉強の効率を考える場合でも、ひたすら問題集を解くよりも、たまには、博物館や美術館や映画館に行って種類の違う刺激を得ることが大事かもしれませんね。どうしても出掛けられない場合は家で図鑑を見るだけでも良いかもしれません。知的好奇心をワクワクさせることが大事なのでしょう。